自殺予防

 

介入の前に、近くに紹介できる場所を見つけておいてください。公共保健センター、警察署、カウンセラー、教会、病院などに問い合わせてください。政府の、もしくは地域の「いのちの電話」はありますか?その電話番号でつながりますか?そのようホットラインはたいてい混雑していて、話し中のシグナルだけだということも多いのです。

基礎的な介入の流れ

1. 調整する

その人が心を開いて、本当の気持ちを分かち合えるように助けてあげてください。

2. 危険度を推定する

自殺願望の度合いを測定することはできないかもしれませんが、危険性の度合いが高いかどうかは大体推定できます。

3. より良い選択を提供する

自分を守るための新たな考え方や処理能力(訳注:助けの源となるもの)を発見できるように助けてあげてください。

 

それでは、これらのステップをひとつひとつ詳しく見て行きましょう。

1. 調査する

受容されていて、心を打ち明けても大丈夫だという気持ちになってもらいたいわけです。
リスクライドQカードにある七つの質問を、時間をとって話し合ってください。
その人を、かけがえのない一人の人間として尊重し、その人の持っている考えや気持ちに注意を払ってください。

あなたを通して、イエス様がその人達に愛の手を差し伸べてくださっているのだということを覚えていてください。
彼らと一緒に過ごすことを満喫しつつ、注意深く、(リラックスして):

決めつけないでください。
その人に罪悪感を負わせるような、または、さらに落ち込ませるような言い方を避けること。
その人の気持ちを事実として認めはしても、自殺を肯定するようなこと(正常なことであるかのような言い方)は避けてください。

2. 危険度を推定する

リスクライドQカードの質問6は、自殺を考えているかということをオープンに聞いています。もし、「そうだ」という返事なら、さらに聞かなくてはならない質問があります。

  • どのようにそれをしようと思っているのですか?
  • 以前にそれを試みたことがありますか?
  • それに必要なものを持っていますか?
  • するなら、いつ、そして、どこですると思いますか?
  • 誰が最初にあなたを見つけると思いますか?
  • あなたの体を見つける人達を心に描いてください。その人達はどんな気持ちになるでしょうか?
  • ご家族や知り合いの人たちはどのように思い、また感じるでしょうか?

心配しないでください。これらの質問をしたからといって、その人の自殺願望が増したりはしません。自殺願望に関する質問をされたからといって、自殺願望が増したりはしないということは、何十年もの研究と臨床実習で示唆されています。自殺について質問することは、自殺の危険度、また絶望感の度合いを判断するのに必須なのです。

これらの質問への応答以外にも、危険性の高い度合いを示すサインとしては、以下のようなものがあります:

  • 感情不安定、または精神不安症やうつなどの疾患、そして酒、薬物等の乱用
  • 喪失:関係、健康、仕事、金銭、財産、解雇・解任
  • 過去の自殺未遂、または家族に自殺の既往がある
  • 孤独:親交の欠如

もし、その人が自分の自殺について詳細を明らかにしたり、または、危険を知らせる合図が多く見られるだけでも、その人は本当に危険な状態にある可能性が高いということなのです。覚えておいてください:危険性の高い人を一人にしてはいけません!大事をとって、助けが来るまで、その人と一緒にいてあげてください。

3. より良い選択を提供する

A. 思いやりのある交流:

自殺を考えている多くの人が孤独に感じています。温かくて支えとなってくれる人々に出会えば希望がわいて来ます。教会や支援グループは新しいスタートをきる力になります。誘ってみてはいかがですか!

B.新たな見解:

悪いことは続くものだと、自殺の可能性のある人は考えます。彼らの考え方は狭まってしまっていて、現実的に物事を見つめるのが困難になっています。生きる理由は十分にあるということを忘れてしまっているのです。彼らが自分の痛みと死にたい理由を語った後にあなたはこう聞くことができます:あなたが生きる理由として、今、何か考えられますか?これらの理由をひとつひとつ挙げていくことができるように助けてあげてください。

問題解決の手助けをすることもできます。新たな考え方やゴールは、今までとはちがったものに焦点をあてる手助けとなります。このことに触れてみてください:「あなたの必要は満たされていないように思われます。それらの必要が満たされるようになるには、何が必要だと思いますか?」

もちろん、神様の愛と、神様が下さる新しい命のことを聞くことが、人生における最も重要な見解の変化につながります。福音には、他のどんなものより(者には真似のできない)、心や感情を変革する力があるのです。

C.適切なサポート:

彼らを(専門家に)委託してください。危険な状態にある人には、カウンセラーに会うように優しいながらも強く要求し、深刻な場合には警察に連絡してください。あなたは精神科の専門ではないけれど、気にかけ、支えたいと思っている者であることを伝えてください。自殺願望を持つ人は、専門家に診てもらわなくてはならないものなのです。訓練を受けた専門家が、その人を保護する責任を引き受けるべきなのです。これはとても大切なことです。自分一人で頑張ろうとしないでください。どのような状況でも、人に死をもたらす可能性のある「秘密」を、そのままにしておくべきではありません。

もう一度言っておきますが、自殺の恐れがなくなるまで、あるいはその人が治療を受け始めるまでは、その人のそばを離れてはいけません。

おわりに

人が自殺の犠牲となってしまうのは、その人の持っている痛みが、それに対処する能力を追い払ってしまうからなのです。あなたは、彼らが生きていくのに支えとなる力を提供するためにそこにいるのです。それは、ただ生きていくためだけではなく、その人が永遠の命を得るための、その源を提供しているのです。クリスチャンには(人に)提供できるものがたくさんあります。非宗教的な研究の結果として示されていることですが、宗教というものは自殺防止の大きな力となり得るのです。クリスチャンの見解は、以下の事柄を信じているという点で、特に有利となります:

命は聖なる贈り物であり、捨て去るべきものではない。
苦しみは意味のないものではない。
神様は私たちを愛し、私たちのために良いご計画を持っておられるということ、そして、最も辛い時期に私たちを支えてくださいます。

大胆なことですが、もし、疑いの目を持って見ている公共事業機関が、私たちが実は何をしようとしているのか、どれだけ心を配っているかを知れば、私たちに手を貸してくれるかもしれません!

最後に、自殺する可能性のある人に、ためらわずに次のことを思い起こさせてください:自殺によって痛みからの解放を求めようとしますが、恐ろしいことに実際は痛みを増倍するものなのです。当人は「逃げる」ことができるかもしれませんが、残された人達は深い悲しみに陥り、それによって生涯消え去ることのないほどの深い悲しみを負わされる人も出てくるのだということを。。。